英語楽読法 – 使える英語は「読む」から身につく
英語嫌いの私が英語で通訳や翻訳をするまでに至ったのは、2年間の留学経験もありますが、とにかく興味のある洋書を読んだことです。そんな私の英語学習法、洋書読書法をまとめました。
もちろんベースは高速大量回転法ですが、洋書という対象であることで、また違う側面からの高速大量回転法が見えると思います。
なお、高速大量回転法を本書ではトップダウンスパイラル法と表現しています。これだけでも、高速大量回転法の新たな側面が見えて、「ああそうか」とわかる人も多いでしょう。
著者: 宇都出雅巳
単行本(ソフトカバー): 192ページ
出版社: 大和書房 (2013/3/10)
発売日: 2013/3/10
目次
まえがき
PROLOGUE いますぐ、英語の勉強をやめよう
- 「勉強」しているから英語ができない
- 私の”英語暗黒時代”も勉強が原因だった
- 英語を「使う」ようになったのが転機
- 海外留学しても英語を使うとは限らない
- 「まずは英会話」ではできるようにならない
- 実践するからできるようになる
CHAPTER① 英語を使うには「読む」のが一番
- 日常生活のなかでどのように英語を使うか
- 「読めない」と「聞けない」「話せない」「書けない」
- 英語は「読む」ことがもっとも簡単
- あなたが読みたいものを読めばOK
- インターネットサイトよりも洋書がおすすめ
- さらにいえば、電子書籍よりペーパーバック
- 実践力を上げたいならビジネス洋書
- 英語は自己意識を変革させる!
CHAPTER② 単語を知らなくても英語は読める
- 読めなかったのは 「単語力」と「文法力」に頼っていたから
- 英語を読むのを楽にする「文脈力」とは?
- 人は自分が知らないことは理解できない
- まずは「部分」ではなく「全体」を理解する
- 文脈力を支える要素① 論理展開を予測しながら読む
- 文脈力を支える要素② その内容を知っているか?
- 英語の文章ではタイトルが重要なポイント
- タイトルを知るだけでこんなに楽に読める
- 「繰り返すだけ」で文脈力を活用できる
- 文脈力をテコにして単語力&文法力を高める
CHAPTER③ トップダウン・スパイラル法で楽に読もう
- アプローチはボトムアップ型からトップダウン型へ
- 文字量を減らせば気楽に読み始められる
- リニア的な読み方からスパイラル的な読み方へ
- わかるところをつないでざっくリ読む
- 「いますぐわかりたい」という気持ちを脇に置く
- 英文を楽に読める「トップダウン・スパイラル法」
CHAPTER④ 洋書ってこんな簡単に読めちゃうの?
- タイトルはその本のコア
- わかる英単語は無理に訳さない
- 洋書との心理的距離を近づける方法
- 目次を読み飛ばすのは超危険行為!
- すぐその場でわかろうとしない
- まえがきで著者の思いをつかむ
- わかったところとわからないところを切り分ける
- あとがきで終わりを先取りしてしまおう!
- 各章の最後の段落に注目すると・・・・・・
- 「急がば回せ」英文にはだんだん近づこう
- トップダウン・スパイラル法が英語との関係を変える!
- やさしい本ほど読み続かない?
- 日本語の本にも応用できる
CHAPTER⑤ 「二つのムダ」を省けば 英語はもっと楽に読める
- 英文和訳の癖を改めよう
- 前置詞”in”は「のなかに」ではない
- こう読めば前置詞も返り読みのムダがなくなる
- 翻訳者はニ段階に分けて翻訳している
- 接続詞”after”も「~の後」ではない
- 英文を楽に読むために、英文法よリ必要なこと
- 「日本語にする」癖をなくそう
- 英語を「英語のままで理解する」
- 意味のわからない単語にこだわらない
- 音にしようとしない
- 慣れるまではしっかり音読する
- すぐに辞書を引かないから単語が覚えられる
CHAPTER⑥ もうあなたは英語を読まずにはいられない
- 英語は日本語に訳せない
- Effecitve Executives=経営者の条件?
- 翻訳書に正確な訳文が載っているとは限らない
- 原書を読むほうが早くて安い
- 1万円で日々更新されている最先端の情報を入手
付録おすすめビジネス洋書
あとがき
まえがき
「あなたは英語の勉強が好きですか?」
いきなりの質間で恐縮ですが、もし、あなたがこの質問に対して「大好きです!とすぐに答えるほどの人であれば、この本はあまりお役に立たないかもしれません。でも「英語は嫌いではないですが、英語の勉強は苦手です」とか「英語は嫌いです。でも話せるように、読めるようになりたい」という人であれば、きっと本書はお役に立つでしょう。
私自身、じつは「英語好き」ではありません。英文科や英語学科などを卒業していませんし、英語を教えたこともありません。自慢にはなりませんが、英語の勉強が長続きしたためしもありません。
「英語好きでもないのに、アメリカに留学したり、TOEICで990点が取れたりするんですか?」
私のプロフィール欄をご覧になった方は、そんな疑問をお持ちになるかもしれません。それは英語嫌いな私でも、英語を使うことは楽しいからです。洋書を読んだり、アメリカ人の友人とメールをやり取りしたり、インターネットの動画サイトを見たりするのは大好きだからです。
英語を勉強することよりも、英語を使うことはその何倍、何十倍も楽しいのです。たとえば、何かの楽器の基本練習は嫌いでも、好きな曲を演奏するのは楽しいでしょう。素振りやリフテイングの練習は嫌いでも、野球やサッカーをすることは楽しいという人は多いはずです。それは、英語も同じです。
しかし、英語はなぜか(高校入試や大学入試の影響か)勉強ばかりがクローズアップされ、使う楽しさを多くの人が知りません。そして、英語をがんばって勉強するより、楽しみながら使うほうが結果的に英語は上達するのです。
本書は「使う」なかでも最も簡単な「読む」ことに焦点を絞って、多くの人が英語を「使う」楽しさを知り、すぐに英語を使えるようになるために書きました。具体的な洋書も挙げて、その読み方も解説しています。
「洋書を読むなんて・・・」と尻込みする人がいるかもしれませんが、恐れることはありません。わかるところからだんだんと読み進めていく「トップダウン・スパイラル法」を活用し(チャプター3 &4)、学校の授業の影響などで身についた二つのムダ「返り読みのムダ」「日本語にするムダ」を省いていく(チャプター5)ことで、簡単に英語が読めるようになります。
インターネットの力もあり、日本にいながらも大量の英語に触れられるようになりました。ようやく、だれでも英語を「使う」ことができる環境が整ったのです。そして、いま必要なのは、これまでの「英語=勉強」から「英語=使う」へのパラダイム・シフトです。
ぜひ「英語=使う」世界へ飛び込んでください!
2013年3月吉日 宇都出雅巳
あとがき
15年前にアメリカ留学を決めたとき、私は英語に自信があったわけではありません。金銭的な不安もありました。 しかし、とにかく「知りたい!」という思いから決意しました。
現在は15年前に比べれば、インターネットの普及・拡大によって、留学しなくても日本にいながらにして、より簡単に、よりたくさん海外の情報に触れることができます。私のように多額の留学費用や2年という期間をかける必要もありません。ほんの少し踏み出せば、一気にあなたの世界は広がっていくのです。英語は単なる「手段」です。そこにとらわれて、お金や時間を費やすのはあまりにももったいないことです。
それよりも、英語という手段を使って何ができるのか、何をしたいのかに意識を向けてみてください。そして、そこに魅力を感じたら、英語ができる・できないにかかわらず飛び込んでみてください。
「勉強」というのは便利な言葉です。「英語を勉強している」と言えば、だれからも悪く言われないでしょうし、自分としても前に進んでいる気がするかもしれません。
だからこそ、勉強は危険です。本当にやりたいこと、やるべきことから逃げるための言い訳に使われることがよくあります。くれぐれも気をつけてください。
本書では読む、とりわけ洋書を読むことに絞って、英語を使うことを解説してきました。読むことは基本であり、もっとも敷居が低いものです。ただ、もしあなたが、「聞きたい」「見たい」「話したい」 のであれば、どんどんそこで英語を使ってみてください。
さあ、あなたはこれからも英語の勉強を続けますか? それとも、いますぐ勉強をやめて、使い始めますか?ぜひ、目の前に広がる英語の海に思い切って飛び込んでください! 本書があなたの未来に役立つことを願っています。
最後になりましたが、「おすすめビジネス洋書」の選定をはじめ、本書の内容にご協力いただいたソフィー・ジ・ アカデミーの三浦哲さんにこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
宇都出雅巳