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「聴くことの本質・あなたは考えてはいけません!」(読者数 2943人)
       
    第99号:相手の<症状>ではなく、<構造>を聴く

                     発行:あなたのコーチ・マサ

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  春になったかと思うほど暖かいと思ったら、また冬に逆戻りしたような
   寒さ。そんな日が続いていますが、お元気ですか?

  また花粉症の季節になってきましたね。私も花粉に反応するらしく、少々
   鼻をグスグスといわせながら過ごしています。

  先日、新聞のテレビ欄で面白そうな番組があったので、見てみました。

  NHKでやっている「課外授業 ようこそ先輩」という番組です。
   これは、各界で活躍している人が、自分の出身小学校を訪ねて授業をする
   というものです。ご存知の方も多いでしょう。
   → http://www.nhk.or.jp/kagaijugyou/list/list.html

  基本的に毎週やっているのですが、なかなか見る機会がありませんでした。
   今回は「ビビッ」ときたので見てみました。

  今回の先輩は『池袋ウエストゲートパーク』などの作品で知られる作家・
   石田衣良さん。テーマは「そしてこれから・・・どう生きる?」。
   → http://www.nhk.or.jp/kagaijugyou/list/list1.html

  私がたずさわっているコーチングが扱うテーマに近いものでしたが、最初
   から石田さんのやり方にびっくりしました。ちなみに対象は小学校6年生
   です。

  最初に、机を廊下に運び出してもらって、椅子だけで円を作って車座にな
   りました。これはコーアクティブ・コーチングのワークショップと同じな
   んですが、その徹底さにびっくりです。

  そして、石田さんが子どもたちに向けて最初に放った言葉が面白い。

  「将来の夢とかを大人から聴かれることが嫌な人は手を挙げてください」
  
   もし、自分だったら、「将来の夢は何なの? どんなふうになりたいの?」
   といかにもコーチングっぽく聴いたかもしれません。

  イチローが小学校の卒業文集で、将来の夢をとても具体的に書いていた例
   などを持ち出して、夢を持つ素晴らしさを語り、それを具体的に表現する
   力を説明していたでしょう。

  でも、石田衣良さんは違いました。

  「将来の夢とかを大人から聴かれることが嫌な人は手を挙げてください」

  本当に子どもの目線に立っているなあと思いました。

  手を挙げた子どもは半数近くいました。そして嫌な理由として「まだ、
   はっきりしていないから」「夢を言うと、それをネタに厳しくされるから」
   など。うろ覚えで書いているので、正確な言葉ではありませんが、子ども
   たちの口からそんな言葉がでてきました。

  コーチングや聴き方を学ぶと、ついつい子どもたちの夢や目標を引き出し、
   明確にしてあげようと思ったりします。それは悪いことではありませんが、
   ついつい、大人が「引き出す人」となり、子どもを「引き出される人」と
   下に見てかかわることがあるなあと気づかされました。

  この番組について気づいたことは後でも少し紹介します。

  それでは、今号の内容です

  1)相手の<症状>ではなく、<構造>を聴く

  2)勉強会・ワークショップのお知らせ

    ●「コーチング・コーチのいま・ここー 吉福伸逸さんとの対話
       ・ワークを通じて」 4月9日 東京・渋谷

  3)「自分探し」は「自分」を探していては終わらない

   ■□■□■相手の<症状>ではなく、<構造>を聴く■□■□■

   前回は、
              『歓びを歌にのせて』
         http://www.elephant-picture.jp/yorokobi/

   という映画をネタにして、

      ●相手の、そして、自分の“声”(トーン)を聴く●

   ことをお伝えしました。

   今回はお伝えするのは、

       ●相手の<症状>ではなく、<構造>を聴く●

   少々小難しい表現ですが、『精神科医になる−−患者を<わかる>
    ということ』(熊木徹夫著 中公新書)を読んで、思いついたこと
    です。『精神科医になる』についてはコチラ↓を見てください
     http://www.dr-kumaki.com/circus/kumaki_book.html

   この本は現役の精神科医がその臨床経験のなかでの患者さんとの
    “対話”で起きていることを生々しく解説したものです。

   精神科医というとどんなイメージを持たれるでしょう?

   もしかして、精神分析やカウンセリングのイメージで、患者さんと
    対話している人かもしれません。また、いろいろな薬を処方してい
    る人かもしれません。

   実際はどちらも正しいそうです。大きく分けると、前者が「精神
    療法」、後者が「薬物療法」といわれます。

   著者は「精神療法」のイメージを抱いて臨床に入りますが、現場で
    薬物の威力をまざまざと見せ付けられます。

   「悶え苦しんでいた患者が、薬物の服用を境にその苦しみをとかれ、
     みるみる表情を和らげていったのである。その劇的な効果を目の
     当たりにして、薬物の威力を認めないわけにはゆかなくなった」

   しかし、一方でやはり、「精神療法」が患者の苦しみをほどく場面
    に何度も遭遇します。

   そんな著者が、ある先輩医師の言葉に衝撃を受けます。

       「薬物は症状にではなく、<構造>に効く」

   この言葉が、「薬物療法」と「精神療法」の枠を超えて、どちらも
    <生体との会話>であることを気づかせるのです。

   <構造>やら<生体との会話>やら、わけのわからない言葉で、
    ピンとこないかもしれませんね。

   <構造>とは著者の言葉を借りると、「ある一人の人間の存在の仕方
    を表すもので、存在構造とでも言い換えることができるもの」

   <生体との会話>とは、「言語表現を通しては到底すくいとれず、
    治療者・患者双方の身体感覚を通してしかわかりあえないような、
    より未分化で普遍的な生体とのコミュニケーション法を指す」

   「薬物療法」も薬で何かの症状を消す、治すというものではなく、
     薬を介した<生体との会話>なのです。薬の効果・効能を知る
     と同時に、薬を処方し、その前後の患者の変化を感じることが
     何よりも大事になります。

   これは「聴く」における「質問」でも同じです。つまり、精神科医
    の「薬」とコーチングや対話における「質問」も同じなのです。

   よく、「最も効果的な質問はなんですか?」とか聴かれることが
    あります。確かに、「もし○○だったとしたら?」といった「アズ
    イフ」の質問など、パワフルな質問はあります。しかし、一つ一つ
    の質問が独立しているわけではありません。

       「質問は症状にではなく、<構造>に効く」

   のです。個々の質問に対応した答えを引き出すことが目的ではなく、
    行おうとしているのは、<構造>、つまり、その人の存在そのもの
    に働きかけているのであり、質問を介した<生体との会話>なので
    す。

   ちなみに、「質問」を薬にたとえて考えるのは大事だと思います。
    以前、ロジャーズ系のカウンセリングをやられている方に聴いた
    ところ、カウンセリングではほとんど質問しないといいます。質問
    は有害だとさえいわれました。

   確かに、質問というのはとてもプラスであれマイナスであれパワフ
    ルなものです。コーチングなどでは多くの質問をして相手にかかわ
    っていますが、どこかでそのパワーを自覚しておかないといけない
    と思います。

   そして、質問をする、答えを引き出すというやりとりをしていると
    ついつい言葉にとらわれてしまいます。しかし、質問を介して行っ
    ているのは<生体との会話>です。生身の人間であり、そこでは、
    言葉にならないもの、身体感覚を通して行うものがたくさんあり
    ます。

   <生体との会話>とは、「言語表現を通しては到底すくいとれず、
    治療者・患者双方の身体感覚を通してしかわかりあえないような、
    より未分化で普遍的な生体とのコミュニケーション法を指す」

 
    コーアクティブ・コーチングいうところのリスニングの「レベ
    ル3」(詳しくは『コーチング・バイブル』を参照ください。
    → http://utsude.jugem.cc/?eid=3)、「事柄ではなく、人に
    焦点を当てる」聴き方につながります。

       ●相手の<症状>ではなく、<構造>を聴く●

   ご感想、ご意見、ご質問をお待ちしています。

    masa@utsude.com までお願いします。
  
   ■□■□■□「コーチング・コーチのいま・ここ」■□■□■□

  1ヶ月前に告知したワークショップです。

  最初に開催日時等の情報をお知らせします。

       「コーチング・コーチのいま・ここ」
        吉福伸逸さんとの対話・ワークを通して

  日時:4月9日(日) 10:00〜17:00

  場所:東京・青山こどもの城 会議室
         (最寄り駅 渋谷駅・表参道駅)
   料金:15,000円
なお、学生(及びそれに準ずる方)は7500円
遠距離参加者(5000円以上の往復交通費がかかる方)は
10,000円

定員:24名

  実はすでに締め切りを過ぎているのですが、まだ定員に達して
   いないので、再度告知させてもらいます。

  このワークショップに参加すると○○が手に入ります!という
   ようなうまい宣伝文句はありませんが、あなたの<構造>に
   効くワークショップになることは間違いないです。

  また、なかなか開かれることのないワークショップです。
   ぜひぜひ、参加してみてください。とはいえ、吉福さんをご存知
   ない方も多いと思うので、再度、ワークショップの意図も含めて
   ご紹介します。

  吉福伸逸さんは私にとって、心理学や心理療法、さらにはカウン
   セリング、コーチングの世界に入るきっかけとなった人です。

  20年近く前に参加した東京・新宿の朝日カルチャーセンターでの
   吉福さんの講演の感覚を今も覚えています。そのとき、いくつか
   質問をしたのですが、よく考えればそれがずっと自分の問いとし
   て残っている気がします。

  ついつい昔の思い出話になりましたが、吉福さんはトランスパー
   ソナル心理学と呼ばれる心理学の新しい潮流を日本に紹介した人
   です。トランスパーソナル心理学の論客、ケン・ウィルバー氏の
   著作をはじめ、数多くの本を翻訳し、ご自身でも著作が出され、
   ワークショップも行われていた人です。

  そんな吉福さんを招いて、何をするかというと、コーチング、
   そして、コーチ自身を振り返ろうという取り組みです。

  吉福さんは私にとっては大きな存在で、すぐにワークショップも
   定員に達すると思っていましたが、最近の人には吉福さんの知名
   度はいま一つのようで、まだ定員まで余裕があります。

  吉福さんを知らない人にとっては、このワークショップで何が
   起こるのか、何を得られるのかが全く見えないかもしれません。

  正直なところ、私もまったく何が起こるかわかりません。

  まずは、参加申し込みのあった人の間でメーリングリストを立ち
   上げて、ワークショップ当日までいろいろ話し合っていく予定で
   す。
  
   そして、当日、吉福さんと参加者とで創り出していきたいと
   思っています。

  私が知る限り、もっとも器が大きいワークショップリーダーなの
   で、参加者のかかわりによって、とてつもなくとんでもない
   ワークショップになる可能性があります。

  吉福さんについてご存知ない方は、以下にいくつかのサイトを
   ご紹介しましたので、参考にしてください。

  こちら↓は過去に行われたワークショップでの説明
   http://www.transpersonal.co.jp/work/yoshihuku05.html
   http://www.nabra.co.jp/hobbit/0410/

  こちら↓は5年ほど前に吉福さんに会った方の話
   http://www.pawanasuta.com/mailmagazine/backnumber3.html

  こちら↓は吉福さんへのインタビュー・対談
   http://www.ne.jp/asahi/bodhipress/way/psych/yoshifuku.html
   http://www.sony-ef.or.jp/lib_ibuka/index.html

  私も参加しますが、
   申し込み先は、j_keiichiro@hotmail.com 岩本さん まで。  

  □■□■「自分探し」は「自分」を探していては終わらない□■□■

  冒頭に挙げた石田衣良さんの言葉で、もう一つ印象に残った言葉があり
   ます。正確ではありませんが、

       ●「自分の居場所を見つけ出してください」●

  こんな言葉だったと思います。

  「自分らしさを発見しましょう」「自己実現しましょう」「オンリー
    ワンを見つけましょう」。こんな言葉はよく聞かれますが、私にと
   って、石田さんの言葉は新鮮でした。そして、とてもリアル感があり
   ました。

  そうしたら、同じような言葉をある本で見つけました。

  「「自分探し」とは本来、「自分」を探すことではなく、既存の環境
    のなかで自分が居やすい場所を見つけたり、つくり出したりするこ
    とだ。」(『<心>はからだの外にある−−「エコロジカルな私」
    の哲学』 河野哲也著 NHKブックス)

  この本はしばしばメルマガで紹介している「アフォーダンス」などの
   考えがベースになっており、また改めて紹介したいと思いますが、こ
   の文章を読んで、石田さんの言葉から感じるリアル感がわかりました。

  人は一人で生きているのではなく、他人をはじめとする環境の中で生
   きています。そこで常に相互作用しながら生きています。

  ただ頭の中で「自分らしさ」「自己実現」「オンリーワン」を考えて
   も、そこにはリアル感はなく、ふわふわとした絵空事になりかねませ
   ん。

        「自分の居場所を見つける・作り出す」

  単に環境に順応するのでもなく、自分の存在を証明することに躍起に
   なるのでもない、そんなリアルな姿がそこにあります。

  もちろん、「自分らしさ」「オンリーワン」を考えることが無意味で
   はありません。それも大事な要素であることは間違いありません。石
   田さんも授業のなかで、それを考える時間も作っていました。

  ちなみに、石田さんの授業の構成は、

  1)人には言っていないこと、もやもやしていること、苦しいことを
     書き出す

  2)自分らしさ、自分のいいところを書き出す

  3)上の2つを踏まえて、そして自分はどう生きるかを書き出す

  
   「居場所」という言葉は入っていませんが、ネガティヴなところ、
    ポジティブなところの両面を踏まえたうえで、「そしてぼくらは
    どう生きる」と現実の生の問いを出しているところが素晴らしいと
    思います。

  番組の最後に、授業を受けたある子どもの感想がとても印象的でした。

  「最初は話が通じないかなと思っていたけれど、思っていたよりも
    通じた」

   ご感想、ご意見、ご質問をお待ちしています。

    masa@utsude.com までお願いします。

  ■■■■■■■■■■■■■最後に■■■■■■■■■■■■■■■■

  最後まで読んでいただきありがとうございました。

  映画を見たり、どんな本を読んでいても、ついついコーチングや聴くこ
   とに結び付けてしまう自分がいます。ほとんど中毒ですね。

  今回は『精神科医になる』という本をご紹介しましたが、最近、精神
   分析などの本をよく読んでいます。フロイトやラカンなどの解説書など
   です。たとえば→ http://utsude.jugem.cc/?eid=76

  改めて「わかったつもり」になっていることが多いのに気づくと同時に、
   私が求めている「聴き方」にとても共通していることが多いのにびっく
   りします。

  まだまだ読みたい本や、読んだ感想を書きたい本がたくさんあるのです
   が、残りの人生でどれだけの本を読んで、それについて書くことができ
   るのか? なんか寂しい気もします。

  また、自分自身の本を書くことも目標なので、その時間をどうするのか?

  気持ちは焦りつつも、今の時間を思い切り味わい深く生きて生きたいと
   思います。

  メルマガの頻度は相変わらずのゆっくりペースですが、とうとうこの
   メルマガも100号を目前になりました。メルマガのおかげでいろいろ
   と自分の考えを深めることができたなあとつくづくありがたいです。

  これまで読んでもらってありがとうございました。引き続きよろしく
   お願いします。

  最後に自分の本の宣伝を。

  『相手が元気になる6つの聴く技術』は発売中です!
    http://www.utsude.com/Kikikata/kiku_gijyutsu.htm

  われながら、いい本だと思っています

  それでは今号はこのへんで。
  
   ご感想、ご意見もお待ちしています。masa@utsude.com まで。
   
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   利用して発行しています。
   ■聴くことの本質・あなたは考えてはいけません! 第99号
   ■発行者:宇都出雅巳 masa@utsude.com
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